日常生活と筋肉の関係性
私たちが日常生活を送っているとき、実は1つの筋肉だけが働いているということはほぼありません。例えば椅子に座っているだけでも、お尻は圧迫されながら背筋を伸ばそうとして脊柱起立筋が使われています。階段を上るときも、太ももの前の筋肉が膝を伸ばし、太ももの後ろの筋肉が股関節を伸ばし、さらに脹脛の筋肉が足首を伸ばす、というように複数の筋肉が同時に働いているんですね。
だからこそ施術の際も、同時に複数の筋肉をリリースしてあげることで、普段の体の使い方に沿った形で緩めてあげることができます。これがタイ古式マッサージの大きな魅力のひとつなんです。
マット上での施術なので、クライアントさんが落下する危険性も少なく、自由に体勢を変えられるという利点もあります。
デスクワーカーの身体の特徴
デスクワークが多い方って、どうしても同じ姿勢を長時間続けることになりますよね。椅子に座っているということは、お尻や太ももの後ろが常に圧迫されています。ここは絶対に疲れているし、血流も悪くなっているはずです。そして「背筋を伸ばさなきゃ」という意識から腰を伸ばし続けようとするので、腰にも大きな負担がかかっています。
こういった方々に対して、お尻と背中の両方を同時にアプローチするテクニックが非常に効果的なんです。
お尻と背中を同時に伸ばすハイブリッドテクニック
基本的な施術手順
- 仰向けに寝ているクライアントさんのお尻の下に、自分の膝を入れます
- クライアントさんの反対側の手を自分の体の方に持ってきて、上半身をねじる状態を作ります
- 頭側にある手を肩の後ろに入れます
- 上半身がねじれる方向に力を加え、お尻が徐々に自分の脚に乗ってくるようにします
- もう一方の手を肋骨の横の脊柱起立筋の部分に置きながら、ねじる動きを加えます
このとき、左脚で大腿筋の部分に圧をかけながら、上半身を手でねじってストレッチしていきます。背骨の周りの脊柱起立筋に触れながら、外側に体を回す方向に力を加えていきますが、腰椎を回すよりも肋骨を回すイメージで動かすと良いでしょう。
応用テクニック
もし少し応用ができる方なら、この時に背骨に屈曲方向の力も加えてみてください。背骨の筋肉のストレッチも同時にしやすくなりますよ。自分の手だけで行うと辛くなってくるので、後ろに体重を乗せるイメージで、前から後ろに動かすようにすると良いですね。
このようにすると、脊柱起立筋の中でも腸腰筋のリリースができるようになります。また、手の位置を変えることで、背骨の真横にある棘筋やその隣の最長筋にもアプローチすることが可能です。こうして椅子に座ったデスクワーカーの方のお尻へのアプローチと背中へのアプローチを両方同時にできるようになります。
解剖学的知識を活かした施術の重要性
解剖学の知識とクライアントさんの日常生活の理解が組み合わさると、どの筋肉を一緒にアプローチすれば良いのか、どの筋肉にストレッチをかければ良いのか、様々なアイデアが生まれてきます。
そうすることで、クライアントさんが求めている施術や、普段の癖を把握しながらの施術ができるようになり、効果も出やすくなります。
解剖学と施術をしっかりと結びつけた施術ができるようになると、自分の施術に自信が持てるようになり、クライアントさんからの質問にもしっかりと答えられるようになります。また、オーダーメイドの施術ができるようになるため、リピートも取りやすくなりますよ。
まとめ
今日お伝えしたハイブリッドテクニックは、デスクワーカーの方が抱える悩みに効果的にアプローチできる方法です。
お尻と背中を同時にケアすることで、日常生活に即した形で筋肉をリリースすることができます。解剖学的知識を深め、クライアントさんの生活習慣を理解することで、より効果的な施術が可能になります。
皆さんもぜひこのテクニックを試してみてください。そして、もっと詳しい施術方法や解剖学の知識を学びたいという方は、ぜひJTTMAの公式LINEにお友達追加してください。
目の前のクライアントさんのお悩みをより効果的に解決できるセラピストになるために、一緒に頑張っていきましょう!